オムニチャネルは「目的」を間違えると失敗する!

オムニチャネル オムニチャネル

オムニチャネルを再度考えてみる

今、一時期の「オムニチャネル・ブーム」と言える熱狂は収まり、逆に純粋に考え直す機運が生まれている環境のような気がします。
オムニ7に始まり、「オムニチャネル」に多大な投資を行った企業が、投資回収の見込みも立たず戦略転換する事例が続出しました。
私も当時、各種業界の人との話の中で「オムニチャネルってなんですか?」と聞いて回りました。
その時の皆さんの回答は・・・
■売場をリアル・ネットで両方作り、どちらでも同じポイントサービスが受けられる仕組みですよ。
■当社はEC専業ですが、オムニチャネル対応で、リアル店舗を開店しました。
■リアルとECのポイント統合に膨大なコストと時間がかかります。まずそれが済んでから。
 
という感じでした。
なんか、目的と手段を混同しているような気がして、「本当はちょっと違うんですよ」と言っても全然聞く耳を持って頂けなかった時代でした。
 

オムニチャネルは顧客エンゲージメント

米国コンサル企業のカート・サーモン社のレポートに下記の記述があります。

小売企業は、顧客にオムニチャネル経験(全てのチャネルでのシームレスで一貫性のある顧客と小売企業との関わり合い)を提供しようと何百万ドルもの資金を投じる中で、ともすればオムニチャネルを通じて達成しようとしていることはそもそも何なのかを見失ってしまう。オムニチャネルは本来、より有効かつ有意義な顧客エンゲージメントを獲得することである。
結局のところ、エンゲージメントの高い顧客ほどロイヤリティーが高く、収益性を押し上げる原動力となる。

「売り込む」チャネルをいっぱい作って連携すれば売上が増える。というのは順番が違います。
■顧客エンゲージメント(企業/店と顧客の間の関係性)を獲得できれば、売上が増える。
■顧客は、出来るだけ多くのチャネル(接点)で企業/店と接点を持ちたいと思うので、各チャネルに一貫性があればエンゲージメントが獲得しやすい。
という順番なんです。
 

百貨店のショーウインドウ

オムニチャネル
百貨店のショーウインドウを例に考えてみましょう。(写真はMATSUYA GINZA)
正確に言うと、ショーウインドウは売場ではありません。ショーウインドウでは、商品を売っていませんよね。前を通る通行客に情報を提供するための場所です。異なるチャネルです。
ここで、気に入ったファッションがもしあったら、店の中を覗いて見ようという気になり、来店誘導につながります。
これがエンゲージメントの為のチャネルを広げましょう、という例になります。
 
もし、ショーウインドウの商品が店に在庫が無ければ、顧客は失望するでしょうし、
ショーウインドウでの表示価格と店の価格が異なれば、同じく失望します。
これが、チャネルの一貫性をつくりましょうという例になります。
 
ショーウインドウも売場にしよう!とすれば間違います。売りたい商品を山のように並べ、衝動買いが起きやすいように、特売用の商品を置きだしたりすると、すでに単なる特売売場です。ショーウインドウではありません。
 
顧客のニーズに沿った形で売場を増やそうとするならば話は全然違います。
買うかどうか迷った商品があったとして、ショーウインドウを再度見て、やっぱり買おう!と決断したとき、もしそこにレジがあれば、ショーウインドウで買うかも知れません。
 

無印のECサイトでは何が売れる?セブンドットコムでは?

無印のEC担当者の講演で聞いた話ですが、ECで何が売れるかというと圧倒的に・・・
家具だそうです。
リアル店舗で家具を見て買おうかな~と思っても、実際のサイズを当てはめたらどうなるかを見てから・・ってなりますよね。型番だけ控えて、実際に家で測ってみてからECで買おうということですね。
ECと連動することにより、今まで、家具のサイズで悩んでいた顧客を取り込めた。ということになります。
セブンドットコムで売れるのは、圧倒的にセブンプレミアム(PB)だそうです。
セブンイレブンで売っているのになぜ?ECで買って、セブンで受け取るの?ということですけど、顧客目線でみてみると・・・
セブンプレミアムって、コンビニの商品棚に置いてある数量しか在庫が無くて、買い溜めしたい時、いざという時に無かったりで、消費者から見たらちょっと・・という面もあり。
セブンドットコム企画段階では、コンビニで手に入るセブンプレミアム(PB)なんか売れるとは思っても見なかったでしょうし。
この様に顧客目線にひたすら立って、顧客が便利なように工夫を続けるのが、オムニチャネルです。
決して順番を間違えないように!

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